WordCamp Tokyo 2011を終えて

※この記事は5年以上前に書かれたため、情報が古い可能性があります

怒涛の準備期間を終えてなんとかWordCamp Tokyo 2011も終了。まだまだアンケート処理やらなんやらの残作業もありますが、イベント終わったタイミングでスタッフからの運営を振り返ってみたいと思います。かんなり長くなりそうなのでいくつかのトピックごとにわけての感想と言うことで(Photo by odysseygate and makegoodtime

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■事前準備編

今までも数々のWordCampに参加してきましたが、当日お手伝い的な軽いスタッフはあったものの、本格的に参画したのは今回が初めて。場所が東京開催という地元エリアだったこともちろんですが、今までのWordCampもとっても楽しいイベントながら、「もっとこうだったらいいのにな」と思うところもちょこちょこあったりして、それは心の中で思ってるだけじゃなくてちゃんと行動に出すべきだよね、という想いも含めてのスタッフ参加でした。

今回のスタッフ参加の中で自分が一番強く思っていたのは「初心者でも楽しめるイベントである」こと。2年前に初めて参加したWordCamp Tokyo 2009は今から考えれば規模も小さくCamp自体も始まったばかりだったこともあって、WordPressが好きでWordPressに詳しい人がとても多い、という印象でした。

そこからたった2年でWordPressは大きく普及し、東京以外のエリアで参加者が右肩上がりに増加する中で「WordPress使い始めたばかり」「WordPress使ったこともない」という人も参加者に増えてきました。また、東京は土地柄ブログをユーザーの立場で使う「ブロガー」も多く、参加者のシェアとして初心者の率はきっと高まるだろうというのもありました。

セッション全体、特にユーザー/ブロガートラックに初心者向けの内容が多かったのもそういう理由です。告知時点から申し込みベースで1000人は行くのでは、という見通しを立てていたこともあり、初心者の参加率が上がるであろうと想定の中、初めて参加した初心者にとって居心地が悪くない、参加してよかったと思えるイベントになって欲しいという気持ちでセッションを立てました。

そのため中上級者にとっては若干物足りない内容だった、という人もいるかもしれません。ただ、ある程度WordPressの知識がある人であれば、テクニカルやデザイナートラックで学ぶこともできますし、イベント中や懇親会のコミュニケーションも初心者よりは取りやすいはず。参加者全員に満足してもらうイベントを目指しつつも、その中でやはり初心者を取り残さないように、というのが個人的に今回一番課題にしていた点でした。

トラックの時間割もそれを意識していて、初心者だったりWordCamp初めての人には午前中の時間を使ってそうした初心者セッションを設定。キーノート以降の午後セッションは便利なプラグインという実践的な内容だったり、そもそもコンテンツとは何ぞやということを理解するセッションや、実際にブログ運営している人々の経験談といったセッションを固めていました。

その中でも個人的に自信を持って言える成果が田口さんに来てもらえたこと。WordCampのイベントではありますが、個人的にはWordPressを必ず使うとかいうことではなく、ブログというメディアの魅力が伝わればいいと思っていて、そうした方向性を伝えてもらうにはやはり田口さんが最適だと思って依頼しました。実際、会場の反応を見ているとそのコンセプトも伝わったみたいで、ああ田口さんに来てもらえてホントによかったと懇親会やTwitterのタイムラインみながらしみじみしてました。

その他にも参加者同士がコミュニケーションを取りやすいように、という取り組みはちょこちょこ導入。その1つがイベントの名札システムです。個人的にイベントにおいて相手の名前がわかる名札は最低限必要と思っていて、そこにプラスアルファで何か話しかけやすい仕組みないかな、と考えたのがシールシステム。

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参加者に強いるシール

ブロガー、エンジニア、デザイナー、サイト制作のシールで色分けすることで、休憩中や懇親会中にちょっとでも話のきっかけになればいいなというのが色分けの狙い。また、初参加の人を金色のシールにしたのは、ディズニーランドでは誕生日のシールを貼っているとスタッフからお祝いしてもらえるというおもてなしをインスパイアして作りました。

とはいえすべては机上の空論なので、実際問題あのシールが役に立ったかどうかは謎なんですけどね……。参加者の人は割とシール貼ってくれていたみたいですが、あれがほんの少しでもみなさまの役に立っていたなら幸いです。

ついでにランチの時間も、Ruby会議で好評だったという「Anti Bocchi Lunch」をリスペクトした取り組みを模索していたのですが、300を超えるお弁当の注文状況を見て「そんなことやってる場合じゃない」と考えを改め、話のきっかけになればいいな程度のシートを配ることに。とはいえ当日はお昼持参の人も含めると楽天カフェテリアがほぼ満席になっており、シートどころではなかったわけですが……。あれはもうちょいこじんまりしたイベントかつお昼が外食になる会場でないと意味なさそうですな。

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お茶付き600円のお弁当

バズワード的ではありますが、ソーシャル感を取り入れたいというのも個人的なコンセプトの1つ。公式サイトで告知するだけではどうしても知っている人しか来ないので、WordPressを知らない人に少しでも情報が届くよう、そしてイベント参加前にイベントの空気が伝わるよう、TwitterやFacebookでの情報発信も積極的に行ないました。特にTwitter担当の人のはっちゃけぶりは当日もそうとうな話題になっており、当日の盛り上げに一役買ったのではないかと思います(ちなみに中の人は私ではありません)。

[blackbirdpie url=”http://twitter.com/#!/wctokyo/status/137088703263817728″] Twitter公式が暴れ始めた記念すべきツイート

運営スタッフによる情報発信という意味ではリレーブログもその1つ。最初はリレーなのに途中で途切れるんじゃないかとひやひやしましたが、みんなの協力で無事にバトンが回りました。また、「WordPressに詳しいのは実はWordCampのスタッフだったりする」ということもあり、スタッフお勧めプラグインを紹介するセッションも盛り込みました。

リレーブログ | WordCamp Tokyo 2011
http://2011.tokyo.wordcamp.org/relay-blog/

いろいろやりきれなかったアイディアもあったりはしますが、ほぼほぼ最初に自分が思っていたところは投入し切れたかなあという気持ち。空振りのアイディアも多々あるとは思いますので、次のイベントをよりよいものにするためにもぜひ参加者の忌憚のない意見をお伺いしたいところです。

■スタッフ編

今回のイベントはいろいろ苦労もありつつ、スタッフとしてもとても楽しいイベントでした。その理由はやはり今回のスタッフ陣が揃いも揃ってお祭り付きで、運営準備に対して前向きな人たちばかりだったからだと思います。

ちょっとした雑用とかもみんな喜んで手伝うし、休みの日の打ち合わせも早朝からの事前準備もみんないやな顔一つせず集まってくれる。想定以上の応募者数で急きょお願いした事前スタッフの人たちも、セッションが見れなくなる時間帯があるというのにとても楽しそうにお手伝いしてくれました。これ書きながらちょっと涙ぐんでしまいそうなくらい、ほんとにほんとに一緒に仕事していて楽しい人たちばかりでした。

スキルも非常に高い人たちばかりで、特にUstream担当はプロ顔負けの準備っぷり。会場のインフラ構築も含めて「任せて安心」な投げっぱなしっぷりでした。Ustream隊の八面六臂っぷりはこのエントリーをどうぞ。

WordCampTokyo2011 ? スタッフで参加しました。 | kmikageのぽてぽてしたブログ
http://kmikage.nikujaga.info/2011/11/287

ほんとにみんな素晴らしいスタッフばかりなのですが、その中でも個人的に改めて御礼申し上げたいなと思う3人が受付担当の宮本さん、会場番長の西川さん、そして会場を提供してくれた楽天の藤原さん。宮本さんの受付業務への徹底ぶり、西川さんの前のめりなほどにアクティブな仕切りっぷり、そして本イベントでスタッフMVPと言い続けている藤原さんのタスク管理能力の高さはほんとにおそるべしでした。ほとんどのタスクを先回りしてこなしつつ、スタッフからの要望も即座に対応。連絡が滞っているタスクはリマインドかけたりという動きがもう神がかってるクオリティ。そりゃブログで世界を名乗るだけのことはあるわとよくわからない納得をしてました。

予想以上の応募数を見て急遽増員した当日スタッフの方々も、本当は午前中だけのお仕事でいいところを最後の片付けまできっちりお手伝いいただきほんとに感謝してもしきれません。こんなすばらしいスタッフをお願いできた自分としてもとても鼻が高いです。

ほんとに文化祭前日にノリノリで準備する学生のように楽しんで準備ができて、それがとても楽しい時間でした。参加者からも「スタッフが楽しそう」って声をいくつもいただきましたが、スタッフが自ら楽しんでいるからこそ参加者にもその楽しさが伝わったんじゃないかな、とちょっと自画自賛ながら思う次第です。

■イベント編

すでに相当長くなっておりますがめげずに前日および当日の感想をば。前日は10時から会場設営だったのですが、個人的に名刺担当しておりました私は印刷周りのタスクを片付けて午後から合流。弊社スタッフへ個人的にお願いしていたリアルわぷーがもうとんでもない高クオリティで、ランチの最中も大変な人気っぷりでした。


当日も大人気だったわぷー

午後は私の担当でもあったパーティションを組み立てつつ会場設営を粛々と進めることに。当初の予定では16時くらいに終わる予定を大幅に超えて17時過ぎまでかかりましたが、Ustream機材周りでやや翌日持ち越しはあったものの、前日にすべきことは一通りこなせました。これ当初の予定だと当日にすべて準備するはずだったんだけど、今思えば絶対破綻してたな……。

WordCamp Tokyo 2011
会場を分断するパーティション

当初はイベント当日6時集合の可能性もあることで早めに近くのホテルを取っていたのですが、前日の準備が進んだことで当日は8時でよいことに。とはいえすでにホテルは予約してしまっているので、同じホテルに宿を取った人を中心にちょいとした前夜祭を観光。一軒目は大井町にあるジンギスカン「北一倶楽部」へ。

CFT北一倶楽部 大井町店 – 大井町/ジンギスカン [食べログ] http://r.tabelog.com/tokyo/A1315/A131501/13085851/

これが想像以上にクオリティが高く、ラムの刺身やらルイベやらがうまいうまい。お店の雰囲気も隠れ家っぽくて、地下に行くのに厨房の中を通り抜けたり、厨房通りざまに「何飲む? ビールでいい?」と声かけられたりというフレンドリーさがたまらない。かなり気に入ったので今度また別の機会に訪れたいと思います。


ルイベおいしいよルイベ

食事を堪能しつつ、近くまで来ていることをTwitterで知ったdaipresentsこと藤原さんを無理矢理招集して次の店へ。どこへ行こうかあたりを歩いていたら目の前に「沖縄」という文字を見つけ、「さっきまで北海道だったから沖縄で日本縦断しようぜ」と謎のテンションで2次会へ。

ぐるなび – 沖縄料理 ぶがりの〜し
http://r.gnavi.co.jp/e964200/

これまた沖縄のお酒がたんまりおいてあってとても良い雰囲気。中でも「クロッシー」というお酒がバツじゃなかった次世代通信Xiを思い起こさせるとてもよい名前なのでひたすらぐびぐびやってました。

2次会で日本を制覇したので3件目は海外遠征し、12時頃にホテル戻ってさあ次の日に備えましょうかね、と一息ついていたら、まさかまさかで北からの使者から「今ついたよ」の連絡が! 結局なんだかんだでホテルに戻って眠ったのは午前2時のことでした……。

眠い目をこすりつつ当日はちゃんと時間通りに到着するも中の人がなかなかドアを開けてくれないという放置プレイの洗礼を受けつつ会場に到着。スタッフTシャツに着替えて最後の準備に取りかかります。

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朝の事前準備タイム

当日はユーザー/ブロガートラックの司会ということでずっとユーザー/ブロガートラックに専念。最初は司会だけのはずが音響周りの確認したりタイムキーパーしたりとうろちょろしまくりでしたが、それでも司会担当ということでセッションをすべて聞くことができたのは役得でした。

毎回楽しみにしているマクラケン直子さんのキーノートは今回もすばらしいクオリティ。プレゼンしてる側は毎回同じに思えてしまうかもしれないけれど、つねに新しい人が入れ替わり立ち替わり参加するイベントにおいて、WordPressの現状と未来をわかりやすく教えてくれるこの時間はほんとに毎回楽しみの1つです。

当日聞いてて楽しかったのはヤスヒサさんと田口さん。ヤスヒサさんのコンテンツ論はとても興味深く共感しつつお話うかがってました。CMSがAPI化するというのはなるほどなーと思いつつ、そのコンセプトを踏まえるならばなんだかんだでPCも携帯電話もスマートフォンも、まだまだ改善の余地はあれどePUBすら対応しつつあるWordPressはやっぱしすごいなあと改めて認識したり。

そして当日の参加者が口々に「よかった!」と言っていた田口さんのプレゼンは、改めて力量の差を思い知らされるすばらしいプレゼンでした。あのプレゼンのすばらしさは能力はもちろんなんだけど丹念な準備とリハーサルによるものであって、「神は細部に宿る」という言葉を体現するあたりはほんとにすばらしいなあと。

プレゼン力も笑いのちりばめ方も伝えたいメッセージもほんとに素晴らしいんだけど、中でも凄いなと思ったのはプレゼンを止めて水を飲んだこと。多少なりとも人前で発表したことがある人ならわかると思うけど、プレゼンしている最中って緊張してしまって時間を操るのが凄い難しくて、ちょっと深呼吸するのもうまくできなかったりすることもしばしば。でもそんなシーンの中、プレゼンを止めて水を飲めるというのはそのプレゼンを完全にコントロールできているということの象徴であって、あの余裕はほんとにすごいなあと細かいところで痛感しました。

当日発表された新サービスもとってもすばらしいクオリティ。こちらはすばらしすぎるのでまた機会を改めてエントリーします。

最後は不肖私めがモデレーターを務めさせていただきましたパネルディスカッション。実はモデレーター務めるのは今回が初めてだったりするんですが、基本は主役のお三方の話を聞くことに注力しつつ、想定していたテーマと質疑応答踏まえて時間をコントロールすることに集中してました。個人的には本当に雑談というかお話してて純粋に楽しい時間帯だったのですが、少しでも3人のブログに対する思いみたいなものが引き出せてたなら嬉しい次第。

全セッションの後はライトニングトーク。5人それぞれ個性あふるるライトニングトークでしたが、やはり圧巻だったのはmegane9988さん。プレゼンもとても巧みだったけど、ほぼすべてのセッションの要素を1つにまとめ込んだまとめ要素に加えて「WordPressをただ使っているだけでも貢献なんだよ」というメッセージはほんとによかった。今回はプレゼンターがスタッフ外にお願いしていたこともあってこの「貢献」メッセージがちょっと弱めだったなあと言うのはこのプレゼン聞いて気づかされたし、そういう意味でも最後に「貢献」をメッセージングしてくれたのはとても素晴らしい締めだなと思いました。

とはいえ「5分で容赦なく切るよ」と脅かしすぎたがゆえにほとんどの人が時間内に終わらせてしまい、せっかくチャイナドレスで登場してくれたドラ娘があまり活躍できなかったことは大変に申し訳ない。申し訳ないのでそのぶん写真貼って何とかしたいと思います。

WordCamp Tokyo 2011

WordCamp Tokyo 2011

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全セッションが終わった後は開放感のあまり閉会の挨拶をすっ飛ばしてしまい委員長に苦笑いされたりというアクシデントを発生させたりしつつお片付けの時間へ。パーティション発注担当として会場の片付けをしていたために懇親会も30分ほど遅れての参加になりました。とはいえパーティション担当の業者さんが大変に手際よく、懇親会は半分くらいでられないかなと覚悟していたので、30分程度で済んだだけでもありがたい。

しかしながら懇親会は前日からの寝不足と、実は水曜日の事前ミーティングの時点から体調がかなり悪化しており、直前も会社を休んで自宅作業していた体調の悪さもあいまって懇親会はかなりフラフラの状態に。かなりいろんな人に挨拶してもらったのですが、ふらふらすぎてきちんとご挨拶できずじまいでした。初めてノンアルコール飲料のありがたさを知った時間だったよ……。

とはいえ懇親会自体はとても楽しい時間で、心配していた食事とドリンクも十分すぎるほど参加者に行き渡って一安心。ドリンクスポンサーとしておいしい飲み物をたくさん用意してくれたサントリーさんに改めて感謝です。

懇親会が終わった後は最後の片付けを全力で実施。体力がどんどん削られる中、ゲストカードが1枚も無くならなかったという吉報に勇気づけられて無事に片付けが終了。

WordCamp Tokyo 2011 撤収
無事に元通りになったカフェテリア

最後にスタッフで集合写真をパチリと撮影し、スタッフ有志で懇親会へ。もう今日は自分へのご褒美だということでタクシー前提で懇親会を楽しみ、控えていたお酒もちょっとだけ開放してビールを軽くたしなんでから帰宅。長い長いWordCamp Tokyo 2011の1日が幕を閉じました。

WordCamp Tokyo 2011 スタッフ
おつかれさまでした!

課題もいろいろあったけど、800人を超える大規模のイベントで大きな問題も起きずに終わらせられたのは本当によかったし、いくつもの課題は次のイベントできちんと反映してよりよいイベントにしていきたい。もうしばらくWordCampスタッフはおなかいっぱいだし、来年はまた新しい人たちにぜひ運営していって欲しいなと思いつつ、スタッフ自らとても楽しいイベントにできたことを誇りに思いたいと思います。

ご来場いただいた方々、スタッフのみんな、そしてイベントを支えてくれたスポンサーの皆様、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


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